ゆがんだ中学受験
何が本当の受験情報なのか
中学受験をお考えの皆さんは、多くの受験情報が飛び交う中どれが本当の情報なのかと悩まれているかと思います。現実に中学受験では根拠がなく事実と異なる受験界の噂や迷信に踊らされ、誤った判断をしてしまう人も多いのです。そして、何が本当の受験情報なのかわからず、皆さんを不安と混乱に陥れているのが中学受験の現状かと思います。その結果、中学受験は入学先となる中高一貫校の理想からも大きくゆがんでいるのです。
かつては大学受験についても「四当五落」という迷信がありましたし、現在でも、「東大生の勉強法はこうだ」的な情報がテレビや書籍で流されていますが、東大卒である私(塾長)が見たことも聞いたこともない情報がほとんどなのです。なぜなら、多くの東大生に共通な効果的学習方法は、自分たちにとっての「あたりまえ」であり公表するほどの価値を感じていないからなのです。そのために、見たことも聞いたこともないようなオリジナルな学習方法のみが声高に叫ばれることになってしまったのです。しかし、東大生が当然と考えている学習方法は一般社会では当然のものではないため、むしろその「あたりまえの」学習方法を公表すべきだったのです。
また、マスコミは番組や本が売れなければ意味がないため、本当に効果的な学習方法ではなく視聴者・読者にとって面白おかしい学習方法を提供したり、奇跡の大逆転合格のような興味をひきやすい話題を提供することが多くなりました。そして本質からかけはなれた受験界の噂や迷信が、次のような現状を生むことになったのです。
そして行きついた「長時間授業」
そして多くの進学塾は「長時間授業」という解決策を提供しました。これは、「子供が勉強をしない」という親の不安が解消されるだけでなく、進学塾にとっても授業料収入が大幅に増えるというメリットがありました。受験のプロに長時間見てもらう「長時間授業」は瞬く間に中学受験界に浸透し、今や「常識」とすら考えられるようになりました。もちろんその長時間の授業を生徒に飽きさせず、素晴らしい授業を行う塾も数多くあるのも事実です。しかし、そこにはいくつかの問題点も発生しました。生徒が長時間の拘束時間に勉強に集中することができず、ぼんやりしたりぐったりするなどの時間が増えたのです。当然、学習効率は低下しますが、その授業状況は親には伝わりません。また、自宅では宿題が優先され、復習が後回しにされてしまい、結果的に復習にまで手が回らないといった状況も生じました。そして、最悪なのは中学受験における燃え尽き症候群でした。
しかし、これらの問題の多くはリアルタイムで親の目には入らず、受験が終わってから問題が表面化することになるため、進学塾の多くはこの状況を改善することができませんでした。なぜなら進学塾の中学受験担当講師のほとんどは中高一貫校の中学生や高校生の指導をしておらず、中学受験に専念しているからです。それによって中学受験については極めて高いスキルを持ちながらも、中学受験合格後にいかなる問題が生じるのかを知ることができなかったのです。塾を卒業した中高一貫校生のうち、恩師に会いに行く生徒は決まって中学進学後もうまくいっている生徒ばかりなのです。
非効率な学習方法、燃え尽き症候群。それら中学受験後に明らかになる問題点を、中学受験を指導している講師は把握することができず、卒業後にうまくいっている生徒に会うことで自分の授業に強い自信を持つことになるのです。そして、その後も「自信を持って」長時間授業を行ってしまっているのです。
中学受験は合格すればそれで終わりといったものではありません。むしろ合格してからが勝負なのです。つまり、中学受験は「短距離走」なのではなく、大学受験を「長距離走」と考えると、そのラップタイムが中学受験なのです。中学受験の際に効率的な学習方法を身に着けてしまえば中学受験に成功するばかりでなく、後の大学受験においても非常に有利になるのです。そして、学習する際に復習を行うことで、定着を図るのが効率の良い学習となるのです。